公務員にも一般企業のようなボーナスがあるのか気になりますよね?
その時期の売上によって上下するというような一般企業と異なり、公務員は税金で成り立っている為、業績にあたる部分もありませんので、少し特殊な構造になっています。
今回は公務員のボーナスにあたる考え方の紹介と具体的な計算方法、公務員の職種別推定年収も紹介しますよ!
INDEX
公務員のボーナス計算の基本
公務員のボーナス計算を理解する為には構造と用語を把握する必要があります。
公務員のボーナスの基本構造
公務員のボーナスに当たる部分は、「期末手当」と「勤勉手当」の2種類から構成されています。
それぞれの意味合いや計算方法を解説していきましょう。
期末手当とは?
期末手当は大まかに言うと在職期間に対して支給される賞与の事で、以下の合算で計算されます。
➀給料
➁専門スタッフ職調整手当
➂扶養手当
➃地域手当
➄役職段階別加算額
➅管理職加算額
この6種類の合計に「期別支給割合」と「在職期間別割合」の2種類の%を掛けることで算出されます。
②専門スタッフ職調整手当とは?
極めて高度な専門知識・経験に従事する職員に支給される手当の事。○○情報分析官・○○政策研究官・○○国際交渉官が該当します。厳密には人事院が設定している専門スタッフ職俸給表の1~3級職員にあたるスタッフが該当します。
こちらはかなり特殊な職員のみを対象としていますが、月の給料の約10%程度の手当になります。
➂扶養手当とは?
公務員の扶養に入っている家族が、他に生計がなければ受け取ることができる手当の事です。民間企業では義務化されていませんが、こういった点も「公務員が安定である」という言葉の所以でもあるところです。
国家公務員の場合、1か月で配偶者が6,500円、父母等の配偶者以外が6,500円、自分の子供が、10,000円に16歳(年度始め)〜22歳(年度末)の期間でプラス5,000円が支給されます。
地方公務員の場合も、市町村によって異なりますが、ほとんど同じ水準です。
この扶養から外れる条件は、見込年収130万円以上というのが目安になっています。ちなみに見込年収は直近3か月の平均収入で算出しますので、だいたい10万円ぐらいと思いましょう。
➃地域手当とは?
地域ごとの民間企業賃金の水準を適切に反映するため、物価等も踏まえつつ、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給されるものです。支給割合は地域に寄って異なり、各都道府県、市町村別に細かく定められています。大規模な空港の区域についても地域手当が支給されます。成田国際空港の区域では15%、中部国際空港・関西国際空港の区域では10%となっています。
各地域の支給割合は人事院規則九―四九(地域手当)にて発表・制定されます。主な地域の支給割合は以下のような感じです。
級地 | 主な支給地域 | 支給割合 |
1 | 東京都特別区 | 20% |
2 | 大阪市・横浜市 | 16% |
3 | さいたま市・千葉市・名古屋市 | 15% |
4 | 神戸市 | 12% |
5 | 水戸市・大津市・京都市・奈良市・広島市・福岡市 | 10% |
6 | 仙台市・宇都宮市・甲府市・岐阜市・静岡市・津市 ・和歌山市・高松市 |
6% |
7 | 札幌市・前橋市・新潟市・富山市・金沢市・福井市 ・長野市・岡山市・徳島市・長崎市 |
3% |
異動がからむ場合に、異動後の地域手当が移動前の支給率を下回る場合は1年目は100%、2年目は80%と2年のみ手当が保証されるという制度もあります。
※データは新給与制度の解説 – 国公労連、国家公務員の諸手当の概要を参照しています。
➄役職段階別加算額とは?
人事院が設定している行政職、教育職の級によって割合が決まっている手当です。
行政職 | 級 | 加算割合 |
6 | 15% | |
5/4 | 10% | |
3 | 5% |
教育職 | 級 | 加算割合 | 備考 |
4 | 20% | 人事委員会が定める学校に勤務する職員 | |
15% | 20%以外のもの | ||
3 | 15% | 人事委員会が別に定める職員 | |
10% | 15%以外のもの | ||
2 | 10% | 教諭及び養護教諭で次の基準を満たすもの ア 基準日現在の経験年数が大卒26年以上のもの イ 再任用学校職員(常時勤務) |
|
5% | ① 教諭及び養護教諭で次の基準を満たすもの ア 基準日現在の経験年数が大卒9年以上26年未満のもの イ 再任用学校職員(短時間勤務) ② 主任助手及び主任寄宿舎指導員 |
||
1 | 5% | ① 経験年数が大卒18年以上のもの(再任用学校職員を除く) ② 再任用学校職員(常時勤務に限る) ※ 短時間勤務は0% |
➅管理職加算額
地位に応じて定められた手当です。行政職7級以上で10%~25%、教育職4級以上で10%~15%が加算されます。
期別支給割合とは?
以下の割合で偏差されます。
基準日 | 一般職員 | 特定管理職員 | 指定職職員 |
6/1 | 122.5% | 102.5% | 62.5% |
12/1 | 137.5% | 117.5% | 77.5% |
在職期間割合とは?
働いた期間に応じて支給額が増加するように設定された偏差です。詳細は以下の表のようになりますが、4月採用や休職等で働いていない期間があると減ってしまいます。
在職期間 | 割合 |
6か月 | 100% |
5か月以上6か月未満 | 80% |
3か月以上5か月未満 | 60% |
3か月未満 | 30% |
期末手当を簡単に
たくさんややこしい用語が出てきましたが、普通の平の一般行政職の場合、➁専門スタッフ職調整手当➄役職段階別加算額➅管理職加算額を除外して、以下の認識で大丈夫です。
期末手当=(基本給+扶養手当+地域手当)×期別支給割合×在職期間割合
手当に関係する級の考え方とは?
森園幸男・大村厚至(2009)『公務員給与法精義<第4次全訂版>』582頁 学陽書房では以下の説明がされています。
加算の対象となる職員および割合を職務の級によって区分しているのは、民間における役職別の差を公務に置き直すに当たって、公務の場合は本省庁、管区機関、地方出先機関などの各組織段階にわたってさまざまな職務の段階が混在していることから、これらの官職の職務と責任の共通の尺度となっている職務の級を基準とすることが適当とされることによる。
つまりメジャーな職場とマイナーの職場を同じように評価する為に設けられた制度という事ですね。
勤勉手当とは?
一般企業の考課査定分にあたる部分で、以下のように計算できます。
勤勉手当=(期末手当の説明にあった➀+②+➃+➄+➅)×(期間率)×(成績率)
期間率とは?
以下の表に対応する偏差の事です。
勤務期間 | 割合 |
6か月 | 100% |
6ヶ月未満~5ヶ月15日以上 | 95% |
5ヶ月15日未満~5ヶ月以上 | 90% |
5ヶ月未満~4ヶ月15日以上 | 80% |
4ヶ月15日未満~4ヶ月以上 | 70% |
4ヶ月未満~3ヶ月15日以上 | 60% |
3ヶ月15日未満~3ヶ月 | 50% |
3ヶ月未満~2ヶ月15日以上 | 40% |
2ヶ月15日未満~2ヶ月以上 | 30% |
2ヶ月未満~1ヶ月15日以上 | 20% |
1ヶ月15日未満~1ヶ月以上 | 15% |
1ヶ月未満~15日以上 | 10% |
15日未満 | 5% |
成績率とは?
対象期間に勤務した成績に応じて「極めて良好」「特に良好」「良好」「良好でない」の4段階で評価をし、それに応じた偏差を行うものです。
成績区分 | 一 般 職 員 | 特定管理職員 (本府省課長等) |
指 定 職 職 員 |
極めて良好 | 110~180% | 134~220% | ー |
特に良好 | 98.5~110% | 119.5~134% | 103.5~190% ※事務次官等は95% |
良好 | 87% | 107% | 90% |
良好でない | 87%未満 | 107%未満 | 90%未満 |
公務員のボーナス計算額は誰がどうやって設定しているか?
毎年8月に人事院が設定し交付します。民間企業の基準に合わせて変動させますが、半年ほどの時間差がある為に、公務員のボーナスは時代の水準に合っていないと言われることもあります。
公務員のボーナス支給日はいつか?
ボーナスの支給基準日は、夏が6月1日、冬は12月1日と決まっています。
支給基準日が土曜日もしくは日曜日の場合は、金曜日に前倒しで支給されます。
公務員・民間のボーナス平均比較してみました!
2017年度の比較だと以下の表のような結果になりました。()内は公務員と比較した一般企業の賞与の差額です。
6月期 | 12月期 | 合計 | |
公務員 | 642,100円 | 681,500円 | 1,323,600円 |
一般企業 | 744,052円 (+101,952円) |
794,124円 (+112,624円) |
1,538,176円 (+214,576円) |
※データは公務員が毎年発表される「報道資料 平成○○年6or12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」という資料から、最も直近の平成29年度版、一般企業が○○年 夏季一時金要求・妥結状況について(最終集計)、○○年 年末一時金要求・妥結状況について(最終集計)の2017年度版の数値を使用しています。
一般企業の賞与平均は加重平均なので集計データによって上下しますが、約20万円の開きがあるんですね。アベノミクスの効果でしょうか。
いずれにせよ2018年度の公務員のボーナスは民間に追いつくべく増額になる可能性が高いです!
2018年度の計算方法は全国税労働組合が計算方法を算出するエクセルを作成していますのでそちらに入力するとわかりやすいです。
公務員の職種別推定年収発表!
年収ラボというサイトに色んな職業の年収データが開示されていて、いくつかピックアップして紹介します。
内閣総理大臣
推定平均年収:5141.1万円
ボーナス:1,122万円
内閣総理大臣は公務員の中で最高値とされています。一番責任も重たいですし当然かと思いますが、年収5000万は多いと感じるか少ないと感じるのか・・・
都道府県知事
推定年収:2222.2万円
ボーナス:485.0万円
都道府県知事は内閣総理大臣に比べると半分ぐらいですね。47人いることを考えるとそんなに少なくはないのかなと思います。
警察官(地方・一般)
平均年収:813.5万円
ボーナス:221.9万円
警察官は安いなんて聞きますが、そんな事もないのかなという数字です。夜勤等の頻度にもよりますね。
小中学校(幼稚園)教員(地方・一般)
平均年収:742.4万円
ボーナス:202.5万円
もっと安いのかなと予想していましたが、案外普通の水準ですね。部活動の顧問で休日出勤している方にとっては安いですね。
一般行政職(地方・一般)
平均年収:715.0万円
ボーナス:195.0万円
一般的な地方公務員の水準はこれぐらいという事で、これ以下はなかなかないみたいなのですが、十分な額ではあると思います。
勤勉手当支給されないケースとは?
派遣職員や何らかの理由で休職している場合、育児休暇や産前産後休暇を取得した場合、規定日数を超えて休む場合には支給されません。
規定により給与を減額された期間に関しても支給の対象にはなりません。
そもそも内閣総理大臣、国務大臣、最高裁長官、衆議院と参議院の議長、国会議員等の職員は勤勉手当の支給対象外です。
公務員ボーナスの計算方法の実態と欠点とは?
成績率に関して、客観的な評価が難しい面があり、だいたい横並びで支給されているのが実態であり、機能していないケースが多いという側面があります。
公務員にとっての勤勉さ=「欠勤がないこと」で、勤勉手当=皆勤賞のようなものになっており、
毎日ちゃんと勤務する事のみがその職種における最高額支給への道となり、民間企業の営業成績競争に比較すると、どうしてもぬるま湯感は否めないというのが個人的な印象です。
まとめ
難しい用語がたくさん出てきましたが、公務員のお財布事情は世の中のイメージ通りだったのかなと思います。
安定する生活と言われている、ボーナスが基本的に毎年2回支給される制度で、水準は民間企業と同レベル、実際の平均収入も少ないと感じるような職種はなかなかない結果でした。
公務員をイメージだけでなく実際に制度を見て捉えることで、どう安定なのか理解できたかと思います。
今回の用語の説明や、細かい数字は手当概要を見て頂くと最も詳細に記述があります。
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