最近は徐々に寒い季節になってきました。寒くなってくると、ご家庭の暖房設備を見直す方も多いですよね。
今回は暖房機の中でも北海道や東北地方を中心に多く採用されている蓄熱暖房機について解説します!
通常のファンヒーターやエアコンと異なり、オンリーワンの暖かさを持つ蓄熱暖房機の特徴や、電気代は実際どうなのかについて紹介していきますよ。
安く使用する方法や、暖房器具の種類と選び方についてもレクチャーするので、是非最後までお読み頂ければ幸いです。
INDEX
暖房器具の種類
暖房器具は大きく分けて以下の3種類があります。
- 対流式
- 輻射(ふくしゃ)式
- 伝導式
それぞれの特徴やどんな物がどの種類になるのでしょうか。
対流式暖房器具とは?
概要
暖房器具から暖かい空気が出て、その空気がお部屋を循環して暖めるタイプの暖房器具の事。
代表的な暖房器具
エアコン、石油ファンヒーター、ガスファンヒーター、セラミックファンヒーターetc(風が出るもの全般だと思えばわかりやすいです)
特徴
短時間で空気そのものが暖かくなるので、お部屋全体を暖めるのに適している物が多いです。しかし木造家屋等では熱が外に逃げやすいので、スイッチをOFFにするとすぐに寒くなってしまう点と、空気を循環させるために、ほこりなどが舞い上がりやすい点がデメリットです。
センサー機能によるピンポイントエリアの暖房や、加湿や空気清浄機機能等がついているものもあるのが特徴です。
輻射式式暖房器具とは?
概要
暖房器具自体が発熱することで周囲を暖めるタイプの暖房器具の事。空気を暖めるものではなく、赤外線により熱の向かう方向にある物を暖める。
代表的な暖房器具
石油ストーブやオイルヒーター、電気ヒーター、カーボンヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター、床暖房、蓄熱式暖房機(熱が出るもの全般です)
特徴
温度調節が細かくしにくい。空気を汚しにくい。対流式独特の気持ち悪い風がなく、じんわり暖かくて心地よい。
伝導式式暖房器具とは?
概要
発熱体で直接「体」を温めるタイプの暖房器具の事。
代表的な暖房器具
ホットカーペット、電気毛布、こたつ、電気アンカー、ホッカイロ等(体に触れるような使い方をするもの全般)
特徴
気軽に買え、電気代などのランニングコストも安い。部屋は温まらない。低温やけどに注意が必要なものが多い。
暖房器具の選び方
暖房器具は用途と住宅や部屋のタイプから選定するようにしましょう。
例えば木造一軒家だと暖気が逃げやすいので、部屋を暖めるより人をピンポイントで温めるようなタイプの暖房器具が向いています。
対流式の石油ファンヒーターと伝導式のホットカーペットを組み合わせる等が効率が良い例と言えます。
マンションの場合は、ガスストーブ等が禁止されている場合もあるので、エアコンが最も無難です。
小さい子どもがいる場合、触ってもやけどしない事や、チャイルドロック機能付きの暖房器具を選ぶのが重要です。
エアコンかオイルヒーター等が良いですが、乾燥しやすいのでこまめに加湿器の運転や換気も必要です。身長の低い子供は寒くなりやすい床面付近にいて大人より体感温度が低いので、ホットカーペットなども効果的です。
部屋ごとに用途は異なりますので、皆の滞在時間の長いリビングでしたら床暖房等も快適ですし、トイレや洗面所等使用時間がわずかな場所は、センサー付きのファンヒーター等で十分です。
蓄熱暖房機は、専業主婦の方がいるお家や、在宅でお仕事をされているお家、大家族のご家庭等の家にいる時間や人数が多く、気象的にも寒さの厳しい環境の家に向いている暖房器具になります。
エアコンは長時間家に滞在している人がいない(共働きなど)家庭や、使用する部屋数が少ない家に向いていて、蓄熱暖房機はよく家に滞在している人がいて、まんべんなくどの部屋も使用して、長時間暖房を使用する家庭に向いているという感じです。
暖房器具の理想の設置場所
出展:日本スティーベル
最も重要な考え方は熱が逃げやすい壁際や窓際から内側に向けて設置する事です。実際にエアコンが取付られている位置は(室外機の関係もありますが)、窓の上に多く設置されているのをよく目にしますよね。
できるだけ熱を逃がさないという考え方が暖房器具の設置場所に重要ですよ。
熱を逃がさない考え方については、エアコンの設定温度を下げても暖かくなる方法をご紹介する以下の記事でも解説していますよ!
蓄熱暖房機とは
一般的に昼間に比べて夜間は1/3程度電気代が安いです。そこで、熱をためる蓄熱式暖房器具というものが開発されました。
蓄熱暖房機とは、安価な夜間電力を使って夜の間に暖房機内のレンガに熱をためておき、日中にためた熱を使用してお部屋を暖める暖房器具です。夜間にためた熱はじんわり熱を放出するだけでなく、ファン付のタイプだと放出する熱の量の調節ができたり、蓄熱する時間や量を調節できたりします。
出展:ユニデールHP
このような仕組み上、商品の宣伝コピー等では安い時間帯に電気を使うので効率良く暖房費を安く抑えることができるというような事を謡っています。
実際にはどうでしょうか?私の結論としては安いものである!と言えるほど安くするのは難しいですが、極力安く抑えつつも部屋を暖める性能は高いものであると思っています!
ここから蓄熱暖房機の仕組みと使用者の口コミふまえつつ、私の結論の根拠を述べて行きますね!
蓄熱暖房機の仕組み
蓄熱暖房機は正式名称を電気蓄熱暖房器と呼ばれ、もともとはヨーロッパの暖炉を元に開発された商品です。
ヨーロッパの家庭では、暖炉の火によって暖められたレンガから穏やかに熱が放出され、部屋を暖かく保っています。それを火の代わりに電気を用いて熱を発生させるものが蓄熱暖房の始まりです。
レンガの隙間に発熱体を挿入して、そこに電気を流して発熱させる仕組みになっています。
ファンのあるタイプはファンによる調節、ファンレスタイプだと放熱口の開口部分の大きさを変化して温度調節を行います。
蓄熱暖房機の種類
蓄熱暖房機には以下のタイプがあります。
ファンレスタイプ:蓄熱レンガから出る熱をそのまま使用して暖めるタイプ。ダンパの開口面積を変えることで、放熱量が調整する。廊下に向いている。
マイコンレスタイプ:通電時間、蓄熱時間を自分で手動設定するタイプ
蓄熱暖房機のメリットデメリット
メリット
蓄熱暖房機のメリットは以下5点です。
- 全館暖房のように家のどこでも暖かい
- 火を使わないし、触ってもやけどや火事の心配がなく、お子さんがいる家庭でも安心
- 構造が単純な為、壊れにくく、特別なメンテナンスも必要ない。10年はノーメンテナンスで故障せずに使用出来る方が多い
- 温風を吹かす必要がないので、埃やハウスダストが舞いにくい
- 低めの温度設定でも快適に過ごせる
最後のメリットの補足ですが、蓄熱暖房は対流式暖房に比べて空気という動くものを暖めるのではなく壁や天井、床等の動かないものを直接暖めて表面温度を上げるので、下の比較図の様に室内をムラなく暖める事ができます。
出展:アルデイHP
※アルディは蓄熱暖房機器メーカーです。
私はこのメリットの中でも、風が出ない点と、全体がじんわり暖かい事による心地よさが何よりも大きいと思います!
デメリット
蓄熱暖房機のメリットは以下5点です。
- 前日に設定を行うのが面倒に感じる人もいる。季節の変わり目は特に温度変化が非常に激しいので面倒
- 設定する際の精度が低いと暑すぎたり、寒すぎたりする。当日の温度変化に対応しにくい
- 蓄熱体のせいで場所をとる。大きくて重たい
- 設置の際に床や壁の補強工事が必要な場合がある
私はこの中でも、最初の2点の設定に関してはある程度慣れでどうにかなると思っていますが、場所を取る点と工事設置費用がかかる事は無視できないデメリットだと感じています!
蓄熱煖房機の使用者の口コミ
まずは暖房性能に関する口コミをピックアップしました。
蓄熱暖房機をONしたら部屋が暑いぐらいだ
— さくら&きなこパパ (@sakuraboston) 2018年11月12日
蓄熱暖房はじめました。 pic.twitter.com/yliYojKU5X
— kaomoji77 (@kaomoji_77) 2018年11月4日
動物とか赤ちゃんには嬉しいじんわりあったかい事が伝わってきますね!
電気代に関する口コミもあります。
蓄熱暖房機をつけると電気代が跳ね上がるので、もう少しエアコンで乗りきります!明日の最低気温も氷点下との予報ですが(汗)
— TAKU (@TAKUSHI_89) 2018年10月18日
やっぱり高いと感じるようです。
とうとう蓄熱暖房器のスイッチ入れました✌️
暖まるまでひと晩掛かるので、明日の朝から快適になる✨
これから半年間点けっぱなしなので電気代が😱— みー (@yumiyumi4724) 2018年10月17日
この方のように「暖かくて快適だけど高い」が皆さんの口コミ意見として一番多いですね。
ここからはそんな蓄熱煖房を極力安くする使い方をご紹介します。
蓄熱暖房機を極力安くする使い方
蓄熱暖房にかかる電気代をできるだけ抑える使用方法は以下の5点をきちんと行う事です。
- 最適な蓄熱量を毎日設定する
- 時刻設定のズレがないか確認する
- 暖房シーズンの終わりには電源プラグを抜き、ブレーカーをOFFに
- ファンは必要な時だけしか回さない
- 数日間不在にする場合はファン・ファンタイマーだけを切る
これに加えて後述する電気料金のプランを適切なものに設定する事で、金額を落としていきます。
それでは各項目をみていきましょう。
最適な蓄熱量を毎日設定する
蓄熱暖房はその仕様上、前日の蓄熱量設定が低すぎて日中に熱切れを起こしてしまった場合、昼でも「追い焚き」をする事で発熱を行います。
追い焚きは日中の割高な電気代を使用してしまう為、割高料金になってしまいます。
蓄熱暖房機は「蓄熱量の下限値」「最大蓄熱時の外気温度」「蓄熱開始時の外気温度」を手動で調節できます。ご家庭で20時に熱切れを起こしてしまうのはどれだけの蓄熱を行った場合なのかを実験しながら、最適な設定を徐々につかんでいくようにするのが良いですよ。
時刻設定のズレがないか確認する
確実に深夜割安料金の時間に蓄熱できるように設定しましょう。毎シーズン初めは特に時間設定が狂っていないかは必ず確認するようにしておくことをおすすめします!
暖房シーズンの終わりには電源プラグを抜き、ブレーカーもOFFに
暖房シーズンが終わったら、必ず室温設定ダイヤル等を最小にし、蓄熱量設定・ファン設定もOFFにしましょう。電源プラグをコンセントから抜き、蓄熱暖房機のブレーカーもOFFにしておきムダがないようにしましょう。
ファンは必要な時だけしか回さない
ファンはより短時間で室温をコントロールする為のもので、稼働する為に昼間の電気を使用するので、できるだけ使用しないようにしましょう。
蓄熱中もファンが稼働しないように設定を確認しておくのも重要です。
数日間不在にする場合はファン・ファンタイマーだけを切る
数日間の不在程度であれば、蓄熱暖房機自体を切ってしまうとまた0%からの蓄熱が必要になってしまうため、切らずにおくほうが経済的になる事が多いです。
不在時は室内が密封されるため蓄熱量の減り方も少なくなります。1週間程度外出する場合も、蓄熱量を普段より少し下げるなどの設定にしておき、保温状態を保っておきます。
その際、ファンやファンタイマーはムダなのでからきっておきましょう。
電力の自由化と電力会社比較について
2016年4月に、法律の改正によって電力の自由化がなされました。
各地域ごとに選択できる電力会社が増えましたので、その中で蓄熱暖房を導入する場合の最適な電気会社を選ぶことは何よりも節約につながります。地域ごとの選択できる電力会社の数は以下です。
各地域非常にたくさんの電気料金のプランがありますので、エネチェンジさんのHPにて比較検討してみることをおすすめしますよ!
蓄熱暖房機メーカーごとの特徴と価格帯、口コミ評価
蓄熱暖房機を買おうと思った場合のメーカーとして、大きく4つの選択肢があります。
- STIEBEL ELTRON:日本スティーベル
- 株式会社サニカ:アルディ
- 株式会社ディンプレックス・ジャパン:ユニデール
- 北海道電機株式会社:暖吉くん
それぞれのメーカー特徴と代表的な商品を5KWタイプを例にして紹介していきます。
日本スティーベル製蓄熱暖房器エルサーマット
日本スティーベルはドイツに本社のあるSTIEBEL ELTRON社の輸入を行う日本法人として設立された会社です。エルサーマットシリーズという蓄熱暖房におけるトップブランドで、様々な大きさのラインナップがあります。
初期不良があり、何日かはブレーカーをあげただけで24時間ずっと6kWも消費してしまいました!!ものすごく電気代がかかりました。業者さんに見てもらった所、こんなことははじめてだと言われました。不幸中の幸いで、うちは太陽光のモニターがあったのでこの事がすぐに発覚しましたが、それが家にない方でこういった初期不良があった場合大変ですので買ってつけたらすぐに確認するようにしたほうが良いです!!
使ってみての暖かさは最高です。去年の冬はこれのおかげでほとんどエアコンは使いませんでした。帰ってきたらすでに部屋が暖かい状態で幸せです。
夜中の安い電気代で賄うってことでしたが、それでも明細見たらちょっと高いかな?って思いました。
出展:楽天市場
株式会社サニカ製蓄熱暖房器アルディ
元々は株式会社白山が制作していた事業を引きつぐ形でサニカが請け負っていました。2019年3月31日をもって全ての製品の生産を終息するとの事です。
寒い外から帰宅した時でも、家の中はじんわりと温かく、自然な暖かさで暖房を使用している存在感がありません。
真冬には朝と夕方にタイマーをセットしていますので、決まった時間にファンが回り、部屋を温めてくれます。
デメリットは、やはり温度調節があまりが出来ないことです。
真冬は一日中暖かくても良いのですが、そこまで寒くない場合や蓄熱量が少なかった時はエアコンを併用しています。
乾燥するのはエアコンも蓄熱暖房も同じなので、加湿器は必要になります。
床材が無垢のヒノキなので、蓄熱暖房器によって床がそったり隙間が大きくなる心配をしていましたが問題無く快適に過ごしています。
蓄熱暖房機はとても満足のいくもので、選んで良かった住宅設備の一つです。
出展:住んでから分かった新築マイホームの体験談
ディンプレックス製蓄熱暖房器ユニデール
アイルランド生まれの世界最大級の電気暖房、再生可能エネルギー機器のメーカーとして、日本以外に環境大国のドイツ等でも評価を得ています。
オール電化住宅にしたのでリビングの暖房用に購入しました
細かく設定できるのでファンを回したいときだけ回せるので便利です
一日部屋中暖かくエアコンのような風もなく快適です
少し困ったところは蓄熱してしまうと温度調節がしにくいので
前日の天気予報を見て蓄熱量を調整しないと暑すぎたり寒かったりと困りものです
一年目なので慣れてくるとうまくいくかと思い試行錯誤しながら使っています
出展:楽天市場
北海道電機製蓄熱暖房器暖吉くん
北海道電力から生まれた日本企業で親しみやすい商品名ですね。
我が家は昨年大規模リフォームをしました。この際、18畳ほどのLDKに北海道電気の「暖吉くん」を入れました。蓄熱式暖房機は北海道や東北では普及しているようですが、関西で導入している家はまだ少ないようで、不安はありました。しかし1年たち、この選択は正解だったと思っています。ほんわかとした温かさが気に入っています。極端な寒がりさんには合わないかもしれませんが・・・。夏の暑さ対策として同じ部屋にエアコンは一応導入しているのですが、タイマーが切れた後、遅くまで起きている時だけたまに使う程度です。
導入前に関西電力の展示場で実物は確認しました。かなり大きくなりますし、床下に補強も必要です。本体の価格は60万くらいだった思います。
条件をクリアーできれば深夜電力を活用できるので、節約にもなりますよ。
それから、火を使わないので安全です。
出展:価格.com
各社の5KW相当の商品を比較してみました。
私の結論として各社ほとんど差がないです。設置や補強に別途費用がかかりますので、それを合わせて2・3社見積をとる事が最も購入費用を安くするポイントだと思います!
唯一アルディだけは事業終息するので、サポートの面などでもあまりおすすめできないかなと思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
蓄熱暖房機は電気から熱を生みだす構造上効率的ではないですが、ピークタイムでの電気の使用を抑えるという貢献ができます。
なぜ上記構造だと効率的でないのか気になる方は、ヒートポンプという仕組みを調べてみると理解できますよ。
なかなか安く済ます事は難しいですが、使用者は確かにその温かみに満足している評価が高いので、合う人にはとても良い商品であると思いますよ!
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